佳作 コンテナ船で物を運ぶ苦労

大阪教育大学附属平野中学校 2年 深井 輝香

 「コンテナ船で運ぶにはたくさんの苦労がいる」小学生の時に見たテレビでそう述べていました。今回は海がテーマということで興味をもち、書くことにしました。
 まず最初にコンテナ船のメリット・デメリットを話したいと思います。
 運送業者、輸出入者にとってのメリットはコンテナ船での海上輸送が定着するとともに、他の運送業者も同規格のコンテナを運べるように仕様を変更。それによって船からトレーラー、または貨物列車から船など、異なる運送手段同士の移動において、コンテナ内の商品を取り出さずにそのまま運送するということが可能だということです。運送業者は貨物の移し替えのために割いていた時間や手間が省けますし、輸出者・輸入者にとっても、荷の積み降ろしの回数が少ない方がダメージを受けるリスクが減り、盗難事故も避けられるというメリットがあります。
 港湾業者にとってのメリットは、コンテナなら、雨でも屋外に置いておくことができたり、船への積み降ろしなどの荷役作業も常時行えるといった利点があります。
 反対に、コンテナ船のデメリットは、20フィートや40フィートのコンテナスペースを独占的に使って輸送するため積み荷が少ないとスペース分が有効活用されない、いわゆる「デッドスペース」となってしまうことです。その他にもコンテナを運ぶためにはドレーという専用のトラックで運ばなくてはいけないため、ドレーのお金がかかることを頭に入れとかなくてはいけないです。ドレーは「ラウンド料金」という特殊な料金体系をとります。これは、「港から出発して港に戻るまでの料金を依頼者が支払う」ことを意味しています。
別なものに例えると〇〇駅でタクシーに乗り指定の場所に降りる。このとき、〇〇駅から指定の場所までのタクシー代金を支払うことはもちろんのこと、〇〇駅まで戻る料金までを支払うことと同じです。一往復を一つの料金としています。何事にもメリット・デメリットはつきものですが、コンテナ船ではこのようなメリット・デメリットが挙げられます。
 次に、海賊とコンテナ船について話していきたいと思います。ここでいう海賊とは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」にでてくるような海賊ではありませんし、この時代にそんな海賊などいないと考えるのが大方の人の意見だと思います。ですが、海賊は存在するんです。そしてその海賊たちは、コンテナ船に被害を与えているんです。コンテナ船は大きいし、移動速度も比較的速いため乗り入れることができないのですが、現代のコンテナ船が巨大化するに従ってその船行速度が低下し、かつ多くのコンテナを積載するために甲板自体が水面に近くなる傾向にあります。そしてこのようなコンテナ船を狙って襲撃される事件がたまにではありますが発生しているんです。海賊は誰も見ていないすきを狙って襲撃してきます。そのための措置として、船航員に見立てた人形を船中に置いておき、相手に襲撃させるすきを与えないようにしているそうです。海賊のような姿が現れたら船中に警告が入り、みんなで協力してコンテナ船を守っているんです。自然の脅威だけでなく人災とも言える海賊の脅威にも備える必要があることを考えると海外からモノが届くということ自体、奇跡に近しいのかもしれません。海外で生産された紅茶が飲めるのも普段私は意識していないですけれどとても感謝すべきことなんだろうと気づかされますね。
 コンテナ船で運ぶのには多くの日数がかかるそうです。ヨーロッパの方へ行く場合は2ヵ月ほどかかります。コンテナ船に乗られている方のご家族さん達も2ヵ月ほど夫・父親が無事帰ってこられるのかと不安になるそうです。コンテナ船で運んでくれるかたの家族の支えも、もしかしたら関わっているのかもしれません。私は一年間父親と別居していましたが、もし死ととなり合わせだったらと考えるとご家族さんたちの不安や信頼、度胸にすごいなと感心せざるをえません。
 今回の海の作文コンクールを通して海運、主にコンテナ船での輸送について詳しく知ることができました。命と隣合わせで働いている人たちにとても感謝すると同時に色々驚きや興味がわいてきました。

2020年12月02日