佳作 使い捨てプラスチックの廃止について

長岡京市立 長岡中学校 2年 林 昊樹

 僕たちがこの暑い夏に飲んでいるペットボトル飲料、お祭りやコンビニで買うかき氷の器やドリンクについてくるストロー、スーパーで買い物をして受け取るレジ袋、すべてプラスチックでできています。この夏、大手コーヒーチェーンのスターバックスは現在利用しているプラスチック製のストローについて2020年までに使用をやめると発表しました。海を汚染するプラゴミの原因となるレジ袋やストローの提供やペットボトル飲料の廃止に僕は賛成です。
 プラスチックは、餌にする生物がいない為、分解されずに、海に残ってしまい、それを誤食して命を落とす生物がたくさんいます。たとえば、亀やイルカは漂っているレジ袋が「イカ」のように見えてしまい食べて窒息してしまうのです。また、マイクロプラスチックと呼ばれる細かくなったストローやペットボトルのかけらが胃袋に溜まって食料を摂ることができなくなって死んでしまうというケースもあります。更に、人体に与える影響にも注意が必要です。マイクロプラスチックに付着しやすいダイオキシン類やPCBなどの有害物質は乳がんや他の重篤な疾患の原因になると考えられています。恐ろしいことに、ホルモン異常や生殖異常を引き起こすことも心配されており、不妊や奇形の可能性が高まるという研究もあります。
 魚や人体の生命の危険を脅かすこともさることながら、僕たちが住む美しい地球の自然の景観を汚していることも悲しいです。
 世界経済フォーラムの報告書によると、世界のプラスチックの年間生産量は1964年では1500万トンでしたが、2014年には3億1100万トンと、わずか50年でその量は20倍超となり、2050年には推計11億2400万トンに上ると想定されています。このうち少なくとも毎年800万トンが海に流出している可能性があり、このままだと海中のマイクロプラスチックゴミの量が魚の量を上回ると予測されています。
 海のプラスチックゴミを減らすためにもプラスチックの使用をやめていかなければなりません。ストロー、レジ袋、ペットボトルなどを環境汚染しないもの、自然に返る素材のものに置き換えていく必要があります。アメリカのシアトル市の飲食店ではプラスチックストローやカトラリーの使用禁止の条例が発令されて以降、紙製のものに切り替えています。EUではレジ袋を1枚5ポンドと有料化したことで、買い物客の90%以上の人がマイバック(エコバック)を持参するようになりました。僕の住む地域でも、1枚5円請求するスーパーがあります。多くの人がエコバックを持参しています。ペットボトルについては自動販売機やコンビニが多い日本では、手軽にペットボトル飲料を購入できることから世界と比較してそのゴミの多さが際立っています。買い物に行く時はマイバックを持参するように、外出時にマイボトルを持参して、購入したドリンクをそれに入れてもらうことで、ペットボトルゴミを軽減できます。マイボトル持参で、割引を受けられるお店も少なくありません。環境も守られて、割引も受けられて良い事づくしです。
 ところが、レジ袋やペットボトルが無くなることで困ることもあるようです。企業にしてみたら、激安広告媒体が無くなってしまうことになります。テレビCM、新聞の折り込みチラシ、看板などと比べて格安な広告であるレジ袋が無くなるのは企業としては良いことではありません。また、清算済みの客を区別できないことから、万引き被害が増えてしまっています。その上、海洋汚染の原因を調査すると、工業廃水、生活排水、廃棄物投棄、大気汚染、タンカー事故など国家規模、地球規模で対策すべき大きな原因があり、レジ袋の廃止が海洋汚染改善に与える影響は微々たるものである事が分かりました。
 レジ袋廃止が大した環境改善にならない事実は残念ではあるけれども、全世界の人々の意識改革にために、やっぱり僕はレジ袋やプラスチックストロー、ペットボトル飲料の廃止に賛成です。それら使い捨てプラスチックの廃止は大きな変化の為の小さな一歩であると思います。海洋汚染を完全に解決することは一朝一夕で成就できる課題ではないのだから、マイバックやマイボトルを持参したり、日常での会話で海の生物に思いをはせたりすることで、世代から世代へと、環境を守る意識を継承していくことが大事だと考えます。

 

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2018年12月01日