佳作 うなぎの絶滅を防ぐために

大津市立 青山中学校 1年 青山 輝征

 僕は、夏休みの土用の丑の日にウナギが食べられませんでした。お母さんに聞くと、「この時期は国産のウナギがとても高いから。」と言っていました。また、テレビでウナギが絶滅危惧種であると言うことを知り、なぜ数が減少しているかということに興味を持ったので調べてみました。
 ウナギの仲間は亜種も含めて世界で十八種類が存在しています。日本列島には「ニホンウナギ」と「オオウナギ」の二種類が生息しています。ニホンウナギは日本列島に加えて中国、朝鮮半島や台湾などの東アジアに生息しています。太平洋のマリアナ諸島の西方海域で生まれたウナギは北赤道海流に乗り、西方向に移動します。フィリピンの東側で黒潮を利用し、冬に東アジア各地の沿岸に近づきます。マリアナ諸島から日本までの移動する間にレプトセファルスという幼生から半透明のシラスウナギに変態します。冬に日本各地の河口域に入ってきたシラスウナギはシラス漁業で採取されます。その量は一九七0年までは百トンを超えた年もありましたが、その後は減少を続け、一九九0年以降は、十トン以下になる年も多くなりました。採られたシラスウナギは養殖種苗として各地の養鰻池に移され、規定の大きさになるまで養殖されます。
 ウナギが激減した原因はダムなどの人工構造物がたくさん設置されることと乱獲が挙げられます。このような人工構造物がたくさん設置されるとウナギの移動ができなくなります。また、このような場所は流れが悪く、水質が悪化します。すると、餌となる甲殻類や小魚などが減少します。さらに河川や湖や沼などの護岸工事も大きな影響を及ぼしています。ウナギの生息環境には自由に出入りできる岩や石のすき間が必要ですが、コンクリート張りの川ではそういった場所がありません。また、世界のウナギ消費量の約七割が日本で、日本や中国の乱獲も僕はよくないと思います。以上の理由から自然界のウナギの数が減っています。また、メスのウナギが成長して大人のウナギになるまでには、河川や湖、沼などで少なくとも約十年間を過ごさなければなりません。もしも河川などにシラスウナギが多く入ってくる年があっても、狭く劣悪な生活場所では親となる健全なウナギの成長は難しく、育ちません。河川や湖や沼で行われている養殖ウナギの放流も問題だと思います。放流される養殖ウナギの中には、「ヨーロッパウナギ」などの外来種のウナギが混入していることがあり、自然環境下でウナギとの生活場所を巡る争いや病気などの新たな問題を引き起こしていることも報告されています。僕は外来種のウナギの放流は絶対にしてはいけないと思います。
 いまから8年前の二0一0年四月に「水産総合研究センター」がウナギの完全養殖の実験に成功したと発表しました。しかし、いまだ完全養殖のウナギは市場に出回っていません。原因は卵から稚魚に育つまで半年から一年半もかかることだと思います。これに比べすでに養殖技術が確立されているマダイは卵のふ化から大体一~二ヶ月で稚魚に育ちます。そのためウナギはマダイのような確率された養殖技術を応用できません。現在は生態にあわせたウナギ独自の養殖技術を新たに検討しているそうです。また、ウナギの仔魚は細菌に弱いため、水槽を毎日交換しなければなりません。しかし、マダイやヒラメは三週間くらい水槽を変えなくても済みます。このようにウナギの完全養殖にはまだまだ課題が多いですが、時間がかかっても僕は完全養殖は絶対日本人にとって必要だと思います。またそれと同時に、ウナギの生息数や生息地を全国的に正確に把握することが必要だと思います。そして生息数の多い所を中心にウナギにとって良い環境を作っていくべきだと思います。例えば河川や湖や沼にウナギが自由に出入りすることができる場所を岩や石で作ってあげることなどです。また、完全養殖のウナギを安く売ることができれば僕達も食べられ、市場に出回ります。そのことで絶滅を防ぐことができるかもしれません。僕はもっと僕たちがウナギを守る意識をする必要があると思います。そして最終的に子供から大人までウナギを食べて健康に生きることができたらいいと思います。

 

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2018年12月01日