銅賞 製鉄所と海運

近畿大学附属和歌山中学校 1年 神野 杏那

 私の住んでいる和歌山県和歌山市には新日鐵住金という大きな製鉄所があります。ここでは原料となる鉄鉱石、石炭、石灰石から鉄を作り、いろいろな工程を経て石油や天然ガスの開発に利用されるパイプが製品としてつくられています。これらの原料や製品はどのようにして製鉄所へ、または製鉄所から輸送されているのでしょうか。
 今回は海運業界に関係している父に、製鉄所と海運の関係についてお話を聞きました。
 鉄の原料、特に鉄鉱石や石灰は産出量や採掘コストの問題があるため、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。主な産地はオーストラリア、ブラジル、インド、カナダ、中国、アメリカなどです。それらの産出国は島国である日本と海をはさんでおり、一度に沢山運ぶための手段は船による海上輸送(海運)だけになります。その理由は、産出国と陸続きでないため鉄道が使えないからということと、飛行機では一度に沢山の原料を運ぶ事ができず費用も高くなるからです。
 鉄鉱石や石灰を大量に運ぶための船は「ばら積み貨物船」と呼ばれます。原料は産出国でばら積み貨物船へと積みこまれ、数日~一、二ヶ月の航海を経て日本の製鉄所に届けられます。日本に到着した貨物船は製鉄所専用の港「ミルポート」に到着します。ここで荷役(にやく)と呼ばれる作業が行われ、原料は貨物船から製鉄所に移されます。
 最初のように新日鐵住金和歌山製鉄所では、原料から作られた鉄がさらに加工され、つなぎ目のないパイプがつくられていきます。これらのパイプは主に岩を掘って石油をとったり輸送したり、天然ガス開発のために作られています。資源の少ない日本では石油や天然ガスが原料と同じくほとんど産出しないため、パイプは国内ではなく石油や天然ガスの産出国で活躍します。石油や天然ガスを産出する主な国はアメリカ、中東諸国、ロシア、中国などがあります。産出国から運ばれた原料は製鉄所で製品へと生まれ変わり、再び船に乗って海を渡ることになります。
 完成したパイプは製鉄所の敷地内にある製造工場からミルポートへ運搬されます。ここで貨物船に積み込まれ、数日~数ヶ月かけて産油国へと輸送されて行きます。このように海運は製鉄所と密接な関係があり、原料の輸入、製品の輸出どちらにも欠かせない重要な輸送手段となっています。どんなに優れた技術があっても原料を輸送できなければ製品を作ることができず、どんなに製品を造っても大量に運ぶ手段がなければ使用する事ができないのです。
 今回は海運のことについて調べましたが、和歌山の港からはこの他にどんなものが輸出や、輸入されているのかが気になりました。和歌山の港の貿易のことについて、もっとくわしく知りたいと思いました。
 今回機会を利用して、父の仕事を知ることができたのを嬉しく思います。

 

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2018年12月01日